誰だって一生に一度の大恋愛ってするものじゃない?
それは冴えない私にも当然当てはまった。
身のほど知らずは十分承知。
彼の隣にいたら自分なんて霞んでしまう存在だけど。
だけど――。
やっぱり好きなんです。
まっすぐなあなたのことが。
だいすきなんです。
「
ーっ!」
どきっと胸が鳴った。
エドに呼ばれるとそれだけで嬉しい。
自分の名前が少し好きになる。
読んでた本に栞を挟んでエドの呼ぶ方へ向かった。
「なぁにエド」
「デートしようぜ」
いきなり何を言い出すかと思ったら。
図らずもマヌケな声を出してしまった。
いつもはそんなこと言わないくせに。
図書館か部屋に篭ってばっかのエドを誘うのは大抵私。
忙しいって口では言っても渋々付き合ってくれる。
そうゆうとこ、好き。
「どうして急に?」
「したくなったから。行こうぜ」
私の応えなんて何も聞かずにぐいっと手を引っ張ってく。
コケそうになった私をエドがくすりと笑った。
顔が熱くなる。
恥ずかしくなってそっぽを向いたらまたぐいっと手を引かれた。
そのままエドに抱きつくようになる。
もうダメだ。
かおがあつくてしにそう。
むねがどくどくとまらない。
「顔真っ赤」
「ひゃっ?!」
ちょんってほっぺをつつかれた。
エドはいつもの悪戯な顔で笑う。
つつかれたほっぺを手で触ってみる。
火傷しそうだった。
そんな私におかまいなしにエドはどんどん前に進む。
大きな背中。
赤いコートがひるがえって空に飛んで行ってしまいそう。
知らず知らずにエドの手をぎゅっと握り返した。
そしたらエドももっときつく握ってくれた。
しんぞうが悲鳴をあげる。
これでもかってくらいに早く鳴る。
気が気じゃなくて、エドがどこに向かっているとか考える余裕もなかった。
「着いたぜ」
「!!!」
エドが連れてきてくれたのは街全体が見渡せる高台の丘。
澄み渡る青空に赤いレンガ造りの建物がよく映える。
強い陽射しが鮮やかに照らしていた。
「キレイだろ」
「うん……うんっ!」
しばらくその風景に見とれた。
そしてふと思う。
青空はアル。
太陽はエド。
どちらも唯一つで、眩しく輝いているもの。
手が届くことが出来ないもの。
とおいとおいはるかなむこうのもの。
急に不安に駆られた。
ちっぽけな自分。
二人の傍にいることが場違いな。
どんなに好きでも身のほど知らずでしかない。
「どうした?」
エドが顔を覗き込んできた。
綺麗な金色の瞳。
そこに私なんかを映してもいいの?
なんだか情けなくなって涙が溢れそうになった。
「なんでもない…ッ」
「なんでもなくないだろ」
頭を引き寄せられてエドの胸に収まる。
そんな風にされたら弱くなってしまう。
堪えてたらエドの静かな優しい声が落ちてきた。
「オレはずっと
の傍にいるって」
ああもうどうしてこの人は分かってしまうんだろう。
私の不安に気付いてくれるんだろう。
こんな私に――――。
「何でッ…分かった、の?」
「そうゆう顔してた」
いつもの悪戯な笑み。
チュッて音を立ててキスされる。
頭ん中が一瞬真っ白になった。
その次にはもうエドが好きな気持がどんどん溢れてきてどうにもならなくなる。
「エド…すき、…すきだよっ」
「知ってる」
エドはくすりと見返した。
そしてぺろぺろと雫れる涙を舌で拭う。
くすぐったくて安心して。
でもやっぱり恥ずかしくて。
涙はすぐに止まった。
そしたらエドはそのまま唇にまで下りてきて触れるだけのキスを何度も繰り返した。
ついばむように幾度も重ねられる唇。
するりと侵入してきた舌に頭が思考を止める。
舌が絡まりあって溶けてしまうんじゃないか。
そんな濃厚なキスだった。
なんだかうまく働かない自分の瞳にエドの顔が映る。
真摯な瞳が全てを射抜く。
「オレが、お前じゃないとダメなんだよ」
「…うん、私もエドじゃないとダメ…」
「じゃあずっと一緒だな」
にかっと笑う太陽みたいなエド。
私はアルみたいにエドを包んで支えてあげることは出来ないかもしれない。
だけど、いつまでもこうして傍にいたいと思うのは我儘ですか?
それでもエドが倒れそうになったら私は隣にいたい。
支えてあげられないかもしれないけど、一緒に悩んで涙を流してあげれるよ。
エドが意地張って我慢してること、代わりにしてあげたいの。
そんな気持ちを込めて。
今日、私は初めて自分からエドに口付けた。
降り積もる思い出よりあなたを愛してる
立ち止まりうずくまった私を見つけて
時として全てに弱気になる私を見つめていて
その愛で私を見つめて――
sozai:dear alice